日本人のための本格的英語論が登場。
「英語格差」を乗り超えるための実用的&実践的アドバイスがこちら。『本物の英語力』のレビューです。
『本物の英語力』について
日本の英語教育で有名な順天堂大学教授、鳥飼久美子先生の英語論。
「英語格差」を乗り越えて、日本人が英語を身につけるにはどうすればいいかを考える本で、単語、文法、音読など、英語学習の方法が満載。
多少専門的な話が含まれますが、「英語をモノにしたい!」と思ったら読んでおいて損のない内容になっています。
どんなことが書かれているかというと、こんな感じです。
英語習得の基本原則(P9)
1・目指すべきはネイティブ・スピーカーではなく、自分が主体的に使える英語。
2・英語を覚えるのではなく、自分が興味があることを「英語で」学ぶ。
中高の英語教育で足りない発音練習(P24)
英語で難しいのが発音。英語の音は、CDを聴いただけでは口や舌をどう動かすか、分からない。
日本の英語教育はフォニックスの指導が重視されていないので、正確な英語の発音を学校教育だけで身につけるのは難しい。
ネイティブにならなくてもいい(P35)
英語を学ぶ上で大切なのは、ネイティブスピーカーを目標とするのではなく、自分の思ったこと、考えていることを英語で伝えられること。
ネイティブのような流暢な発音ができなくてもいい、大切なのは、自分を英語でどう表現できるか。
語彙力について(P37)
英語はやっぱり語彙力がモノを言う。
上を目指そうとするのであれば、中高で習う英単語を基本に、どんどん語彙力を身につけていく必要があるが、単語だけは自力でコツコツ覚えていくしかない。
文法の最低限はこれ(P64)
文法の基本は文の構造と5文型。ここを押さえておけば、最低限の文法理解ができていると考えて良い。
以上、内容の一部を要約して書きましたが、
・一人でできる内容重視の英語練習法(P103)
・映画で英語を勉強する方法(P129)
など、様々な英語の勉強法、普段意識することなど、具体的に書かれています。
この本の考え方を参考に英語学習に取り組むと、上達の参考になることと思います。
英語を学ぶということ
それと、本書の内容で一番「そうだよなぁ」と納得してしまったのは、英語を学ぶということの意味です。
英語を学ぶ意味について、本書では次のように書かれています。
英語という外国語を学ぶことは、「未知と向き合い異質性と格闘すること」です。
~略~
文化は言語にも深く関わっていて、切り離すことができません。人間は誰もが母語を持っていて、母語が持つ世界観に支配されています。
すると、自分が意識せずに持っている価値観とは異なる価値観を持った言語を学習する際に、衝突や葛藤を起こすことがあります。
~略~
それゆえ、外国語を学ぶことは、おおげさに言えば、「未知の世界に遭遇すること」で、これまでの自分が知らなかった「異質性と格闘すること」を意味します。
P195~196より
英語を学ぶことは、ただ単に言葉を学ぶことではない。
英語という言葉を通じて、その先に広がる日本とか違う文化、世界があることを学んでいる。世の中には自分たちとは違う人達がいることを学んでいる。
そんなふうに考えると、いろいろ素晴らしいですよね。
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『本物の英語力』(講談社現代新書)