英語を自由自在に使いこなせるようになるためには一体何が必要なのか?具体的にどんな勉強をして、どんなトレーニングを受ければいいのか?
そのためのヒントが分かりやすく学べる本がこちら。関谷英里子著『同時通訳者の頭の中』(祥伝社黄金文庫)です。
英語の同時通訳者である著者がその秘密を、分かりやすく教えてくれます。
『同時通訳者の頭の中』とは
本書はフェイスブック創業者やアル・ゴア副大統領の通訳を勤めた「英語のプロ」である著者が、通訳の頭の中を分かりやすく解説しつつ、どのように英語を勉強すれば自由自在に使いこなせるようになるのか。分かりやすく理解できる本です。
具体的には、通訳が英語を処理しているときの頭のなかのプロセスをはじめ、日本人のためのおすすめ英語習得3つのステップ。そしておすすめの勉強法。通訳が愛用する英語を使い倒すツール。最後にコミュニケーションとしての英語論。
文庫で気軽に読める内容ながら、今すぐ実践したい英語習得のノウハウが満載の内容になっています。
英語とは反応力だ!?
通訳の仕事とは、聴いた英語を即座に日本語に変換し、正しく伝える仕事です。そのため、
反応力の高さ=レスポンス力こそが、通訳として必要な能力であると関谷さんは述べています(P29)。
ではどうやってレスポンス力を高めればいいのか?そのカギとなるのが英語の「文法」。
文法を理解していると英語の構造がわかってくるので、どのような単語が使われるか予想がしやすくなり、その分レスポンスのスピードが速くなるのです。
P31
文法というルールを理解することによって、英語の反応力アップ。同時に、語彙力をつけることで、瞬時に英語に反応できるレスポンス力を獲得する。
ここに、英語を自由自在に使いこなすヒントが隠されています。
英語をマスターするために最も重要なこと
本書では、通訳の英語処理の仕方をもとに、どうやって英語を自由自在に使いこなすのか。そのヒントが満載です。
特に「ピン!」と来るのは、日本人が重視したい英語学習の3つの柱。
1・インプット
2・アウトプット
3・継続
本書ではこの3つを継続することが、日本人が英語学習に成功するための柱として紹介されています。
まずインプットで英語の知識(文法、単語、様々な英語の言い回し)を自分のものにしていく。そして次に、アウトプットで英語の知識を使う練習(話す、書くなど)をする。
英語をインプットしたらアウトプットする。そしてそこから得た学ぶをさらにインプットしてアウトプットし改善していく。
このプロセスを継続していくことこそが、英語を習得するための柱だと、関谷さんは述べています。
同時通訳者はインプットとアウトプットを「毎日」行っていることが書かれています。(P47)
英語をインプットしてアウトプットする。この効果効能については第二言語習得の理論でも強調されているポイント。英語を正しく習得するには、それなりの方法があることが分かります。
→英語の「超」効率的習得法!『科学的トレーニングで英語力は伸ばせる!』のレビュー
プロ通訳が教える英語学習のヒント
本書『同時通訳者の頭の中』では、英語習得の基本的な考え方だけでなく、具体的に何をどう勉強すればいいのか。実践的なヒントも満載です。
いくつかご紹介します。
基本習慣&考え方
・かっこいい英文表現を見つけたらすぐにメモして使う。(P48)
・英語で迷ったら文法書で調べて正しい用法を覚える。(P60)
・英語を勉強と考えない。間違ってもいいので、積極的にアウトプットする。”I’m sorry. I can’t speak English.””I’m sorry. My English is very poor.”は絶対に使わない!(P74~75)
・継続できる仕組みを作る。英語学習ための時間を最初から日程に組み込んでおく。(P86)
・購入した英語のテキストはすぐに届いたらすぐに封を切る。(P94)
具体的な話
・シャドウイングでレスポンス力を鍛える。最初は聴こえてきた英語の意味を考える必要はなし。ともかく話せるようにする!(P107)
・パラフレーズ(聴いた内容を別の言葉に置き換える)で英語のイメージ力アップを意識する。そのために英語の類語辞典を活用する。(P111・P119)
・英単語を覚えるときはエクセルを活用。そのさいは必ず例文を載せること!英単語は例文とセットで覚えるのが実用的。(P125)
・同業他社の外国企業のウェブサイトで英語の表現を勉強する。(P133)
・リーディングで語彙力をつける。中級以上の英語力の差は、リーディングの量で決まる。原書を読むなら翻訳から先に読む。(P142・P144)
・ディクテーション(英語の音声を聴いて書き写す練習法)を英語学習のメインに据える。これが一番効果がある。映画で英語を学ぶなら、セリフをすべてディクテーションして書き取る。(P160・P164)
英会話レッスンのヒント
このように本書『同時通訳者の頭の中』では、英語学習の基本的な考え方だけでなく、具体的な方法も満載です。パラパラめくっているだけで、「これなら今すぐ始められる!」というヒントが見つかります。
更に本書では英会話レッスンについても、貴重なヒントを学ぶことができます。
例えば効果的に参加するための姿勢。「英会話レッスンは英語を教わる場所ではなく、アウトプットするための場所」であり、ここを間違えてしまうと、いくら英会話スクールに参加したところで、積極的な英語力アップは期待できません。
スクールから言われたとおりのことを学ぶのではなく、自主的に場所を活用する。
「何を教えてもらうか」「何を勉強するか」はむしろ受講生が考えていくべきなのです。
P181
という言葉は、とても大切な考え方です。先生には「私はこういう英語を学びたいです」と主張するのも、効果的なアイディアです。
英会話スクールは環境!
更に注目したいのが、「英会話レッスンを英語上達の刺激を受けるための環境にすべき」という指摘。(P189)
私自身、英会話スクールに通ったり、仕事柄様々な英語習得のためのサービスを見て、その雰囲気を感じています。だからこそ「環境」は、英語力を伸ばすために、とても大切だと考えています。
会話力が伸びていく人は、実は優秀な学習仲間に恵まれているケースが多いです。
P189
と指摘されているとおり、周囲に、
「私は英語ペラペラになりたい!こんな英会話教材を試して、こんな効果があったよ!」
「英語パーソナルトレーニングを始めて、今こんな勉強をしている」
「半年後にイギリスに留学する」
周囲に、このような人たちがいれば、間違いなく刺激を受けます。
勉強法の情報交換ができるというメリットだけでなく、何より、彼らのやる気が伝染。「自分も!」という気持ちになります。
一方、周囲にやる気がない人がいれば、「今日は英語の勉強をサボったけど、まぁいいか」と、どんどん流されてしまいます。
この点、英語を勉強して結果を出すためには、方法論はもちろんのこと、環境作りも、とても大切なことだと実感しています。
まとめ
本書『同時通訳者の頭の中』は268ページ。文庫本で気軽に読むことができますが、その内容はとても実践的。英語学習に関するヒントが満載です。
身近なところで今すぐ参考にできるヒントも多いので、初級者中級者上級者問わず、参考になる話を見つけることができます。
どうしたら本当に英語力アップできるのか?普段、どんな勉強をすれば上達を実感できるのか?この点、分かりやすく、かつ具体的に参考になります。
英語の勉強法に興味がある方は、本書のなかで、「これだ!」というヒントを見つけられるかも。ぜひ参考にしてみてください。