英会話の学習を実践していく上で大切なのが、守破離と呼ばれる基本ルール。
守破離とは、日本伝統芸能で使われている言葉で、いわば原則です。かんたんに言えば、人が何かを学び、マスターするまでの過程をまとめた言葉です。
学習にはそれぞれ、ステップがあります。上達のステップは、「守」・「破」・「離」の3段階。長い日本の伝統芸能で培われた、歴史ある考え方です。
私達が何かを身につけるときは、このステップを通ります。以下、詳しくご紹介していきます。
基礎を身につける
まず、第一段階の「守」。
このレベルでは、優秀な指導者(お手本)に付き、その教えやノウハウを学んでいく、いわば下積みの時期です。
この場合の指導者とは、人だけでなく、優れた英語本・英会話教材も含まれます。
例えば、英語を上達したいとき、「これだ!」と思う本を見つけます。そして、「守」の時期は、本に書かれているノウハウ、学習法を徹底して真似します。
このときのポイントは、自分の意見・考えを挟まず、書いてあることを一定期間徹底すること。
例えば、本に長文を毎日数行音読すると書かれているなら、それを素直に実行していきます。
このような基礎訓練を積むことで、英語に対する基本的な下地が自然と身についていきます。
学生時代、部活動を経験された方なら分かると思いますが、入部した当初は、指導教師や先輩の言うことを素直に聞きますよね。
私の場合、中学・高校とテニス部に入部していました。
まず1年生当初の半年くらいは、ひたすらボール拾いや先輩のフォーム指導、ランニング(校内15週マラソンなど)です。
この時期は、「テニスをしたくて入部したのに、何でこんなことしなくちゃいけないんだ!」と感じたことがあります。
しかし、これは学習上とても大切なことだと今は思います。
入部当初は、誰しも初心者なわけです。最初に、先輩の指導に従う=型を身につけることで、テニスをする下準備ができるわけです。
英語も同じなわけで、ある程度話せるようになるには、話せる人の勉強法、学習計画、考え方等を身につける必要があります。
「守」の時期は、これらの大切な基礎を学ぶ期間なのです。
当サイトでは、初心者向けライティングの学習法として基本例文活用をおすすめしていますが、これはまさしく「守」の考え方。
基本を真似し形を習得。英語を書くためのスキルの型を作ることを目的としています。
よく自己流が詰まるのは、しっかりとした基礎がなく、変に自分のクセができてしまうからだと思います(ただし後述に注意)。
何事も自分に都合のよいように解釈してしまうので、ある程度は伸びるかもしれませんが、基礎が身に付きません。
そこで、初心者の場合は、よい英語のお手本を見つけ、徹底して「守」を実践します。
ドラゴン桜に「型にはめて何が悪い!」という名言がありますが、「守」の時期は、まさしく英語上達の「型」を作るときです。
いわば、最低限の基礎体力作りです。
お手本を取捨選択する
次に、「破」の時期。
この時期は、指導者の教えから少しずつ自分のカラーを出していく時期です。
いわば、個性を見出す期間です。
徹底した基礎を身に付けたら、「自分に合う・合わない」を探していきます。具体的には、あえてお手本を破ったり、自分で試行錯誤をしてみます。
例えば、あなたの英語のお手本が「文法重視」だったとします。
「守」の時期で徹底的に文法を学んだら、「破」の時期では、あえて文法を軽視する学習法をしてみます。
リーディングのときは構文、文法チェックをしないなど、この時期は意図的にお手本を無視(破る)ことを試します。
そこで、上手くいったこと・いかなかったことを自分なりに検証、発展させていきます。
ここで勘違いしていけないのは、「破」の時期は、あくまで「守」をクリアした人のみ進めるということ。
「守」の時期に型を作っておかなければ、何が効果があるのかが分かりません。
例えば、最低限の基礎が身についていない人に、いきなり上級者向けの学習法をさせても、効果は期待できませんよね。
自己流も最終的にはOKなのですが、それは、最低限の基礎があってこそ。例えばプロ野球選手。各プレイヤーによっていろんな個性がありますよね。
でも、最低限共通しているものがあります。それは体力であったり、練習管理法であったりします。
「守」で基礎的なものをしっかり身につけた後、自分なりの方法を探していきますです。それが「破」の時期なのです。
個性を追求する
最後に「離」の時期。
ここでは、お手本から完全に離れ、自分なりの学習法を構築していきます。
「破」の時期に上手くいったやり方を、自分なりに考え、発展、効率化させていきます。
「離」の時期に入って、初めて自分の「我=個性」を出していきます。お手本でも「本当に効果があるの?」と感じることがあります。
守破離の各ステップごとの対応としては、
・「守」の時期→問答無用でやる。
・「破」の時期→効果があれば続けれる、効果がなければ破る(切り捨てる)。
・「離」の時期→自分で決める(やるかやらないかは自分で決める)
というようになります。
自分に向く・向かないというのは、ある一定期間、「守」の時期を経験しないと、本当のところ分からないものです。
最初は、素直にお手本に従い、意図して自分を型にはめるのがポイント。
そして、「破」の時期には少しずつ、お手本を自己流にアレンジしていきます。最後に「離」の時期に自分なりの方法というものをつかみます。
英語で言えば、この頃には、レベルが上がり、実質中級以上になっています。「自分に効果的・効果がない」というのは、体感で理解できるレベルです。
この段階までくれば、独学で英会話に取り組んでいっても、十分効果が期待できると思います。
よい手本とは?
以上、守破離のステップをご紹介しましたが、どうでしょうか?
英会話初心者の方の場合、まだ「型」ができていないので、この点は大きなメリットだと思います。
よいお手本を見つけることができれば、それだけよいスタートが切れるからです。
「英語を話せるようになりたい!」という初心者の方にまずおすすめするのが、何よりお手本を見つけること。この場合のよいお手本とは、
・王道(努力)
・共感できる
・誠実
の3点です。
逆に、安易なお手本を真似してしまうと、長期的に見るとためになりません。
具体的には、「1日わずか○○するだけで英語オンチの私がペラペラに!」という感じの内容です。
この点、当サイトでは、「楽して英語が話せる!」という安易な内容の情報を記載しないよう、極力配慮しています。
成長にはしかるべきプロセスがあります。しかるべきことをせずに、「結果だけ出せ!」というのは難しいのです。
私の周りの人間で、「1日わずか数分の勉強で英語ができるようになった!」という人はいませんし、やっぱり、裏ではみんな頑張っているのです。
仕事の合間にリスニングCDを聞いたり、テキストをリーディングしたり、本気で取り組んでいる人ほど影で努力を積んでいます。
余談になりましたが、このページを読んでくれている方には、こういう当たり前のことを知っておいて欲しいと思います。
最後に
以上、初心者が英会話を効果的に習得する基本ステップ「守破離」についてご紹介しました。
英会話は一定のステップを経ることによって、誰でも習得することができます。それはパターンです。
今すぐかんたんに英語を話せるようになることはできませんが、必要なステップを着実に積み重ねていくことによって、英語を話せる自分と出会うことができます。
英会話を効果的に習得したい初心者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
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