子どもに本当に必要な英語力を考える。『子どもの英語にどう向き合うか』の読書感想

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子どもと勉強の本

2020年小学校で英語が本格的に強化として登場。

ますます英語の役割が重要なっていくこの日本において、我が子を英語オンチにさせないためにはどうすればいいか?

将来英語に困らない大人にするためにはどうすればいいか?その参考にしたいのがこちら、『子どもの英語にどう向き合うか』(NHK出版新書562)です。

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大切なのは子どもが大人になったとき

『子どもの英語にどう向き合うか』は立教大学名誉教授であり英語教育の第一人者として知られる鳥飼久美子先生が、こどもの英語教育について一般向けに分かりやすく説明している本。

英語塾に通わせることは意味があるのか、幼児英会話レッスンはどうなのかなど、身近な気になる疑問はもちろんのこと、どうすれば子どもが英語に困らない大人になるのか。

大切な話が満載になっています。

本書の本質的なポイントとしては子どもが将来英語に困らない大人になるために大切なのはまず母語をしっかりすること。

つまり日本語の国語教育を絶対に疎かにしないこと。その理由と意味について、分かりやすく理解することができます。

また、2020年から始まる小学校における英語教育がどうなるか。その概要と方針も理解できるので、お子さんの英語教育に興味を持っている方は、読んで損がない内容になっています。

子どもに英語塾は必要ない?

本書で一番大切なポイントは、子どもが小さい頃に英語を学ばせることでなく、子どもがきちんと言語力を身につけること。

日本語で考え、日本語をしっかり使えるようにすること。英語より先に日本語の大切さが主張されているのが本書の特徴です。その理由はこう。

ことばと思考の関係については、これまで多くの学者が取り組んできました。

人間は思考を言葉で表現するわけですが、それだけでなく、ことばが思考を形づくる、すなわち世界がどう見えるかということは、その人が話すことばによって決まる、という学説もあります。

人間の脳の働きや、言語と思考の仕組みは、調べれば調べるほど複雑で、様々な研究が行われ諸説ありますが、少なくとも「ことば」は「思考」に大きな影響を与えていることだけは確かだとされています。

P27~28

例えば、私たちは子どもを小さい頃から英語漬けさせたり、海外で生活させることによって子どもがバイリンガルになると考えますが、実際はそんな簡単な話ではありません。

本書によると、確かに子どもを小さいうちから英語教室やネイティブの英会話レッスンを受けさせることによって、発音やイントネーションはネイティブのようにできる可能性はあります。

しかし、それはあくまで表面的な部分でしかなく、本当に英語を使える能力は身につかないといいます。

なぜなら英語は語学力。

「母語の日本語を使う力と関係している」というのがその理由で、つまり私たち日本人にとっては、英語ができることは日本語を使いこなせる力と無関係ではない、ということになります。

女性の英語上達が早い理由

たとえば、女性は一般的に男性よりも英語の上達が早いと言われます。

これはもともと、女性自体が言語力が男性よりも高いため、男性よりも容易に言葉を使えるようになると考えられています。

英語は確かに日本人にとっては外国語ですが、言語という土台の部分は同じ。だから、日本語がきちんとできる。母語をしっかり使いこなすことができる。

そういう人は、何歳から英語を始めても、日本語の土台があるので、英語を使いこなせるレベルにまで上達することができる。

この理由が『子どもの英語にどう向き合うか』では、非常に分かりやすく説明されています。

だからこそ、英語の発音はネイティブライクで上手。しかしそれは見た目だけで実際は中身があることを英語で話せない。論理的に使いこなせない。こんなバイリンガルや帰国子女の子どもがいるというのです。(P33)

大切なのは長い目で考えること

このことを考えると、必ずしも子どもを早期から英語漬けさせるのは必ずしも良いことばかりではないことが分かります。

物事には良い面と悪い面が必ずあって、まず土台となる日本語をしっかりすること。この主張については個人的に完全賛成。

まずは国語をしっかりやって、日本語の文章をきちんと理解できる。自分の考えを説明できる。

そういった、当たり前の能力を身につけることが大切ではないでしょうか。

いくら英語の発音がネイティブのようにできたとしても、話す内容に中身がなければ、それは子供だまし。本当の英語力とは言えません。

英語だろうが日本語だろうが、言語力は根底でつながっている。

であるなら、まず国語。土台をしっかり身につける。その方が長い目で見ると、本物の英語力を身につける力になる。

本書を読めばまさに、そのことを実感することができます。

最後に

ということで、もしあなたがお子さんの英語教育に関心をお持ちなら、本書の内容は非常に参考になります。

大切なのは、今すぐ子どもだましの英語を覚えるのではなく、子どもが大人になったとき。自分で本物の英語力を身につけられる土台を提供すること。

この意味で、真剣に英語教育に考えるためには、本書の主張はとても合理的かつ、納得しやすいです。

この本を読めば、何が本当に我が子のためになるのか。それを考えるきっかけになるでしょう。

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