「英語を話せるようになりたい。英会話スクールに通おうかな?」
そこで最初に考えたいのが、日本人講師のレッスンかネイティブ講師のレッスン、「どちらを選ぶのか?」というチョイスです。そして、日本人講師のレッスンとネイティブ講師のレッスン、それぞれメリットとデメリットがあります。
そこでこの記事では日本人講師とネイティブ講師、それぞれの違いを分かりやすくまとめています。英会話スクールに通うことを検討している方は、この記事を参考にしつつ、あなたにとってのベストチョイスを検討してみてください。
まず最初にとても重要な話をします
「英語を習うなら、やっぱりネイティブの先生のほうがいいのでは?英語のネイティブなのだから」
このようなイメージを抱いているかもしれませんが、英会話スクールのレッスンを検討する大前提として、ネイティブ=優れた英語教師とは限らないことを知っておくことはとても大切です。
なぜネイティブ講師が「優れた英語教師である」という保証になるとは限らないのか?その理由の1つが英会話スクールの「ネイティブ採用基準」です。
英会話スクールのなかにはネイティブ講師採用にあたり、厳しい条件で講師採用を決めている本格的なスクールがあります。一方で、「英語が話せるネイティブだから」というだけで採用しているスクールもあります。
日本人に滞在しているネイティブ講師の場合、大学で教育や英語を専門にしている講師、もしくは英語という言語の仕組みを学び、その習得理論を研究した講師を採用する英語教育に真剣なスクールがあります。
この場合、講師の学歴のみならず英語指導に関する資格の保有も採用の条件として考慮されます。そのため、ネイティブ講師であっても英語が話せるだけでなく、生徒に対して「英語を効果的に教えるスキル」を持っている可能性が高いと言えます。
問題は「英語が話せるから」というだけでネイティブを採用しているスクールです。この場合、講師の英語に対する指導力に関しては「その人しだい」で、生徒側からすれば「良い先生に当たるかどうかは運次第」という表現が適切でしょう。
当たり前の話ですが、その言語を話すことができることが、その言語を教える力があるとは限りません。「雑談相手」ならともかく、お金を払って英語を学ぶのであれば、英語という言語を習得するための、一定のスキルや知識を持つ人を選ぶ必要があります。
この点、ネイティブ=英語のプロと単純に考えてお金を払うことはおすすめできません。
例えるならこういう話
なぜ英語が話せるだけのネイティブ講師に英語を学ぶことがおすすめできないのか?この理由は中学・高校の国語の教育を想像すれば理解しやすいでしょう。
学校の国語の授業、それは「日本語」を扱う教育です。先生は日本人で母語は日本語です。日本語を扱う国語の先生でも、分かりやすい先生とそうじゃない先生がいますよね。英会話スクールのネイティブ講師もそれは同じです。
国語指導には様々なメソッドがあるだけでなく、先生それ自体の知識や勉強をしてきた過程、経歴が指導に反映されます。そのため、語彙力、教材の選定、使う話法など、しっかりした教育を受けていない先生の場合、「生徒に応じた指導」ができません。
なので、「英語はネイティブに習うのが良い」というイメージだけでレッスンを決めてしまうと、「英会話ごっこ」にお金と時間を費やすリスクが高くなってしまうのです。
現実的な話として、ネイティブ講師のなかには素人レベルどころか「日本滞在のためだけに英会話講師をしている」というケースが事実としてあります。
「ネイティブだから採用されている」講師のなかには、担当する児童英語クラスの児童に問題発言を繰り返したり女性生徒との関係でトラブルを起こすなど、生徒への不適切な言動が問題になるといった事例もあります。
また、「ネイティブ講師」として雇われている講師のなかには「実は英語のネイティブ話者ではないけれど、外国人だからネイティブ講師として頑張ってもらいます」というケースもあります。この場合「英語は話せるが教える技術がない」という可能性があります。
そういった事情で採用されているネイティブ講師のレッスンを受けることになると英語の上達に全く役に立たず、お金と時間が完全に浪費してしまいます。「ネイティブ講師」というだけでレッスンを決めてしまうことは注意したいところです。
関連記事:初心者が知っておきたい英会話スクールの辞め時とは?
ネイティブ講師が最強の英語講師とは限らない
英会話を習う、英語のレッスンを受ける。
そういうとき、私たちはつい「ネイティブの先生に習う方がいいかな?」と思ってしまいますが、ネイティブ講師と一口に言ってもそのレベルは本当に様々です。
「ネイティブ講師による英会話レッスン!」という宣伝文句は確かに魅力的ですが、ではそのネイティブは英語教育に関してどのようなスキルや知識、どのような意識を持っているのか?確認したいところです。
力がある方(自分で英語の勉強ができる方)で、「英語特有のリズムをしっかり身につけたい!」という場合は、日本人の先生よりはネイティブスピーカーの先生が良い可能性が大です。
というのは、英語の基礎を身につけ英語をアウトプットする段階に入った方ならネイティブの教え方が上手い&下手が分かるからです。つまり「この先生は大丈夫」「この先生は自分に合わない」ということを、「自分自身で」判断できます。
スラングを連発したり、講師としてやる気を感じられない人はすぐ「ピン!」と来ると思うので、その点に関しては我慢せず、英会話スクールに問題を伝えることが大切です。
安心できるネイティブ講師のチェックポイント
・日本語が話せるか?(言語に対する関心)
・指導経験が豊富か?英語教育に対する訓練を受けているか?
・修士、博士課程取得など専門的な教育(高い英語力)があるか?
初心者でもネイティブ講師は大丈夫?
英会話の初心者の方で、発音重視のレッスンを希望するだけなら、ネイティブスピーカーの先生を選ぶことはできます。
発音やニュアンスを真似ていくことになるので、真剣にネイティブの先生の英会話レッスンを受けることで、アクセントの面では上達が期待できます。
また、実際のネイティブスピーカーと会話して学べることも多々あるはず。英語独自の間の取り方、感情の表現、ニュアンス。そういう点は、日本人同士の英会話では気がつかないことばかりです。
ネイティブスピーカーと会話するという体験に価値を置く場合、日本人の先生ではなくネイティブの先生を選ぶ。それによって、日常の学習では気づかないことに目が開くかもしれません。
実際、ネイティブ講師と英会話をすると、あらゆる意味で、日本人の英語講師とは根本的な感覚が違うことに気づきます。これは、自分の視野、発想を広げるという点で、ネイティブ講師のレッスンを受ける独自の強みになります。
ただし、現段階であなたが日常的な英語を話すことに慣れていない場合や、基礎的な学習を必要としている場合、あえてネイティブ講師のレッスンを選ぶ理由はないかもしれません。
「英語でレッスンを受け、会話を通じてスキルを身につける」というステージの前段階にいるため、経験と実績がある日本人講師のレッスンを選び、ステップバイステップで英語力を高めていくほうが、結果的に「急がば回れ」となるでしょう。
初心者の方には初心者の方には効果的な上達方法があります。適切なステージに到達しないままネイティブ講師のレッスンを受けても、ただの「英会話ごっこ」で終わってしまう可能性があります。
この意味で、初心者の方にはネイティブより「日本人講師の方が安心」と言えます。その理由を述べていきます。
日本人講師を選ぶメリットは?
日本人で英会話講師をされている先生の場合、たいていの方が留学経験者です。
数年間英語圏の国に留学し、現地で生活を送りながら英語を身につけ、使いこなせるようになった経験を持っています。
それはすなわち、「日本人としてゼロから英語を話せるようになるプロセスを経験している」ことを意味します。だからこそ、日本人の英語学習者の悩みやつまずき点を体感的に理解することができる思いやりがあります。
また、日本人の先生の場合、海外留学経験によって英語がペラペラになっただけでなく、「英語を教えることに対する専門的な教育」(TESOLなどネイティブでない人に英語を教えるための資格)を受けている場合があります。
そのため、英会話スクールのサイトを見ていると、教育の質・講師のレベルの高さをアピールしているケースがよくあります。
自身の体験から身につけた英語習得の方法論だけでなく、理論の面からも理解し習得した上で、
「日本人の英語学習者がどこでつまっているのか?」
「勉強方法に誤りはないのか?」
「そもそも、もっと効果的に上達する方法はないか?」
など、学習上の悩みに対し、指導的な面で効果的な学習が期待できます。
これは日本人の先生に英語を教わる独自のメリットです。この辺の細かい指導は、英語を勉強して身につけた日本人講師ならではの強みです。
英文法の説明はダントツ
それに、日本人の先生なら、「英語でこれどう言うの?」というような質問がしやすくなります。例えば、次のような具合です。
生徒「海外旅行に行ったとき、地元の人におすすめのレストランの情報を教えてもらいたいんですが、英語で何と言えばいいですか?」
先生「そういう時は、ホテルの人に、”Can you recommend a good restaurant near here ?” と言えばいいですよ」「”Can you ~ ?”はしてもらえませんか?というニュアンスです。”recommend “は何かをオススメする、という意味です」
このような感じで、「これ英語でどう言うの?」に加えて、文法の説明もしてもらえるケースがあります。
文法的な問題の説明では、やはり同じ日本人の説明が一番よく分かります。発音やイントネーションなどでは、ネイティブにかなわないかもしれませんが、分かりやすさは一番です。
文法の学び直しや発音指導といった点は特に、日本人の英語話者だからこそ「ここをこのように説明すれば理解してもらえる」という点を押さえているため、生徒側からしても疑問がスッキリしやすく、納得しながら英語を学ぶことができます。
ちなみに日本人講師の場合、TOEICや英検など、日本の「英語資格」テストに対する対策も効果が期待できます。英会話スクールで採用されているプロ日本人講師の多くは、TOEICや英検資格の取得者が多いからです。
英語という外国語を理解しながら身につけ、生徒のニーズを満たす。それらをサポートする知識と経験を持っていること。それが「英語を自ら勉強し身につけた日本人講師の強み」と言えるでしょう。
日本人講師のチェックポイント
・留学経験(短期ではなく長期、海外の大学卒業資格保有者があれば信頼性が高い)があるか?
・言語習得や英語教育に関する知見があるか?
・英語を教えることに強い関心を持っているか?
ちなみに、第二言語習得という「英語を効果的に覚えるための科学的理論」の研究において、英語を効率的に上達するためには英文法の知識を覚えることが大切であることが分かっています。
英会話スクールのなかでは初心者向けのグループトレーニングで英文法&英会話のための語彙を短期集中で身につけることができるスクールもあります。「急がば回れ」で、着実に実力を高めていくことができます。
まとめ
以上、日本人講師とネイティブ講師、それぞれの違いをご紹介しました。
私たちは漠然と「英語?ネイティブに習えばペラペラになりそう」というイメージを持っているのかもしれません。
ところが実際、ネイティブ講師の英語のレッスンを3年受けても、なんとなく英語を勉強した気にはなるかもしれませんが、「話せるようになった!」という実感を得られない方はたくさんいます。
ネイティブ講師といってもそのレッスンの内容はスクールの運営方針次第。
英語のレッスンを受ける上で特に重要なのは、「ネイティブだから英語がペラペラになりそう」といったイメージではなく、その先生が英語という言語に対して、どのような姿勢、スキルを持っているかが重要です。
英語の基礎を身につけた中級者以上の方にとっては、英語をアウトプットする機会としては日本語を身につけ日本文化を尊重し、言語習得に関する知見、英語指導資格を持つ「プロネイティブ講師」のレッスンは、大いに刺激を受けることでしょう。
一方、英語を学ぶ初級者の方、英語が苦手な方は、海外経験豊富で英語教育に情熱を持つ日本人講師の先生の方が適切&効果的なレッスンが期待できます。
「母語は日本語で、ゼロから英語を学び身につけた日本人」講師の経験や視点、そして知識が、あなたの英語習得の道を、迷うことなく進む手助けとなることでしょう。
最後に
英語は言語。言語には習得の過程があります。
「英語を学ぶ場所」として英会話スクールはそのサービスを提供しています。そして、そのサービスが自分にベストかどうかを、私たち自身が見極める必要があります。そのためにもまず、違いを知ることが大切です。
この記事が参考になれば幸いです。