英語を話せるようになりたいと思っている初心者です。
「英語を話せるようになるためには英文法の勉強は必要ない。勉強しても英会話は身につかない」という話を聞きました。
この話は本当ですか?英文法を勉強する必要はありませんか?
A・極論に走らず、バランス重視で
英語習得のノウハウには様々な方法論があります。たとえば、気軽に購入できる市販の英語学習本の多くをわかりやすく分類すると、次の2つの考え方や主張が中心となっていることに気づきます。それぞれ、正反対の考え方です。
考え方1:グラマー重視
「日本人が英語をマスターするためには、何よりも文法の理解が重要だ!コミュニケーション中心の学習は小手先の力しか身につかない!」
これは、古くからある考え方です。比較的、高学歴の方は英文法を重視する傾向が強いようです。
例えば、精神科医の和田秀樹先生の「痛快!知的生活」(上智大学名誉教授の渡部先生との共著)では、理解重視の受験英語の大切さを強調されています。
英文法重視のメリットとして「英語を頭で理解できる」という点が特徴です。言葉を聴いて覚えるというような体感的な学習法ではなく、文法というルールをもとに英文を正確に理解することが目的とした方法です。
英文法をマスターすることで、リーディングの理解力(翻訳など)や正確な作文力の土台を作ることができます。つまり「英文法をきちんと勉強しておくことこそが、日本人にとって英語上達の基礎になる」というスタンスが、英文法教育の考え方です。
また日本には受験というシステムがあります。受験は英語を学科として取り組みます。このような仕組みがある以上、英語教育で文法を重視さざるを得ないこともあります。
受験英語の効果等についてはこちらの記事をご覧ください。
考え方2:英会話重視
「日本人が英語をマスターできないのは、理屈(英文法)ばかり勉強するからだ!生きた英語を身につけるには、コミュニケーション中心の学習をすべきだ!」
いつ頃からか、「日本人ほど熱心に英語を勉強している割りに、全然話せるようになっていないじゃないか!教育が間違っている!」という考え方が流行しました。脳科学者で言語学者の苫米地英人氏は著書で次のように述べています。
日本人の多くが、「どうして日本人はいつまでたっても英語が苦手なんだろう」と思っているとききます。しかし、これは当たり前です。日本の英語教育全体が間違った方法で英語を教えているからです。
機能脳科学からみたときに、日本の英語教育がやっている「文法」から学んでいく方法は完全に間違っているのです。
「英語は逆から学べ」(まえがきより)
「そこまで言うか?」とまで徹底的に英文法を「悪」と断罪しています。そして、「見る・聴く」を中心とした英語学習を提案しています。
2000年以降、英文法重視の流れから、英語教育は、コミュニケーションを意識した方向へとシフトしていきました。学校の教科書には会話的な表現が重視され始め、文法の項目が以前より少なくなっています。
確かに、会話表現を覚えることで、実際のコミュニケーションで英語を話せるようになる気もしますが、本当のところはどうなのでしょうか。
正しい答えはどちら?
英文法は役立つ派と不要派、それぞれの主張を確認すると、それぞれ、どちらの考え方も納得できるところがあります。初心者の方は、「どれが正しいんだ!」と迷ってしまうかもしれません。
当サイトでは、両方正しい=どちらも必要という立場です。というのは、英文法を学ぶのはこんなメリット・デメリットがあると考えるからです。そして、「どんなときにも効果がある、100%正しい英語の学習法はない!」というのが正直なところです。
英語の実力をつけるためには、文法・コミュニケーション、両方ともに大切です。英会話を楽しむためには、コミュニケーション中心の学習が役に立ちますが、実践的なスキルを身につけるとすると、会話表現だけでは太刀打ちできません。
日常会話くらいなら問題はないかもしれませんが、会議やプレゼンなど、自分の考えを英語で表現するためには、英語で考える思考力が必要になります。この力を育てるためには、文法というルールを理解している必要があります。
人に正しく意味を伝えられるよう、自分で英文を作り、理論を組み立てる緻密さが必要になります。このためには、どうしても英文法の知識が必要です。
このように、
「英会話が大切、だから英文法は要らない!」
「文法さえ出来れば英語なんか簡単だ!」
というような極論ではなく、
「英会話も大事、そしてグラマーも大切」というような、ニュートラルな立場に立つことで、効率的に英語を学ぶことができると思います。
基礎なくして成長なし!
このバランスは、部活動などでスポーツを経験された方ならイメージしやすいと思います。
私の場合、小学生のときにサッカー部に所属していました。ポジションはセンターバック、ディフェンダーです。毎日授業が終わると、筋トレやランニング、パス回しやシュート練習、ヘディング、ディフェンスの練習など、汗まみれになりました。
なぜこのような練習をするかというと、それは試合で結果を出すためです。グラウンドで活躍するためには、ランニングや筋肉トレーニングなどの体の基礎力を高める訓練を始め、パスやドリブルなどの地道な練習が必要です。
日々のトレーニングなしで、いきなり試合で大活躍できることはありません。日ごろから、体がスムーズに動くよう、安定したコンディションを管理していきます。
ここで大切なのは、技術(テクニック)と安定した体力(基礎)です。技術だけ磨いても不十分ですし、体力だけあっても、それもまた不十分です。
試合で活躍するには、長い時間動き回るための基礎体力はもちろん、状況に応じて動くテクニックが必要です。この両輪がそろって、初めてよい結果を出すことができます。
これは英語も同じです。「ノウハウの正しさ」にこだわらず、バランスを重視して、英会話学習に取り組むことが大切です。どちらが一方的にOKもしくはNGといった極論に走らず、必要なことを勉強していきましょう。
まとめ
最後にまとめです。
一般的に「英文法を学んでも英語を話せるようにならない」というイメージがありますが、私たち日本人にとって英文法を学ぶことは意味があります。
もちろん、「英文法だけ」を学んでも英語を話せるようになるのは難しいかもしれませんが、英語そのものを学ぶ過程において、必要な文法知識を身につけていくことは、とても大切なことです。
英会話を学ぶと同時に最低限の英文法を学び、身につけて、使えるようにする。この努力はあなたが英語を話せるようになる上で、とても大切な行動になります。
ということで「必要な英文法はしっかり学ぶ価値がある」という結論でこの記事を終えます。参考になれば幸いです。
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