早期英語教育論への根拠がこれ。「臨界期」とは?

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「英語は◯歳までに始めないと、ネイティブのように話せるようならない!」

こんな話、聞いたことありませんか?

そこで関係してくる重要キーワードが、臨界期(りんかいき)です。

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臨界期とは?

臨界期とは、ある時期を過ぎるとその後学習が上達しなくなる限界の時期のこと言います。英語では、sensitive periodもしくはcritical periodとも言われます。

例えば、生後間もないすずめの子を、親すずめと隔離します。

通常、すずめは生まれて一定期間にさえずりを覚えますが、親と隔離し、さえずりを学ぶ機会を逃してしまうと、そのすずめは一生さえずることができなくなります。

つまり、「ある期間のうちに学ばなければならないことを逃したら、一生身につかない!」というのが臨界期説です。

ほんとうに英語は○歳から始めないとダメ?

あまり聞きなれない言葉ですが、この臨界期は、英語の早期学習でよく述べられている理論で、小学校英語導入は、まさしく臨界期説を背景にした政策です。

分かりやすく要約すると、「人間が言葉(英語)を覚えるには、ある年齢までに学習しておかないと、きちんと伸びないよ!」という考え方が英語の臨界期説になります。

臨界期を唱えたのはLennebergという学者です。もともとは失語症の研究がもとになっています。内容は次の通りです。

1.大人と子供、それぞれの失語症の経緯を調べる。

2.結果、大人よりも子供の方が、失語症から回復するのが早かったことが分かる。

3.このことから、年齢と言語習得には何らかの関係があると着目する。

4.子供の方が言葉を覚える能力が優れているのではないかという仮説が生まれる。

5.「12~13歳までに言語習得能力は失われる」という臨界期説が誕生。

ポイントは、「言語習得の能力」と「年齢の関係」です。事例では、「子供の方が言葉を覚えるのが有利」という考え方が中心になっています。

小学校英語と臨界期

2011年から、小学校で英語が必修になりました。

これは、臨界期説に基づき、「早く英語を学ぶことによって英語が身につく。臨界期を過ぎてからだと英語が身につかない。子供には早い段階で英語を勉強させよう!」という考えが中心になっています。

幼児向け英会話スクールも、「早くから英語に触れることでネイティブスピーカーのように英語が話せます」と宣伝しているところが多いようです。

小さいときから英語聞かせることによって、日本人でありながらネイティブのように英語を話すことができる考えられています。

実際はどうなのか?

一方で、臨界期説は研究者の間でも様々な意見があり、言語習得との関係がはっきり分かってはいません。また、臨界期説に対して、異論もあります。

研究では、言語習得は年齢が早い方が有利という考え方が中心ですが、英語習得の絶対的な指標にはなっていません。

今のところ、「○歳までに英語を学ばないと話せるようにならない」という根拠はないのが現状です。

そのため、我が子をバイリンガルにしたいがあまり、日本語をおろそかにするのはとても危険なことです。英語を学ぶことは大切ですが、焦りすぎる必要もありません。

多角的に情報を集め、検討することが大切です。

まとめ

臨界期とは、「○歳までに△しなければ✕を習得できない!」という考え方です。

特に英語習得など、語学関連で有名な理論で、幼児向けの英語養育は臨界期を根拠にして、早期英語教育を推奨しています。

それで実際、英語は3歳までに始めなければ身につかないのか?その件について更に理解を深めたい方は、日本における英語教育第一人者である鳥飼玖美子先生(早期英語教育反対派)の本が参考になります。

早期英語教育について知り、なぜ母語の日本語よりも英語を優先させるのか?その必要は本当にあるのか?真剣に考えることをおすすめします。

関連記事:『子どもの英語にどう向き合うか』のレビュー。子どもに本当に必要な英語力を考える本!

最後に

以上、英語の早期教育で重要な考えとなる「臨界期」についてご紹介しました。

「◯歳までに英語を始めないと~」という考え方は賛否両論があり、日本における早期英語教育の導入についても、様々な意見があります。

幅広い意見を知った上で、例えばあなたがお子さんの英語教育に関心をお持ちの場合。大人になってから英語を学び直す場合。何があなたにとって大切で大切でないのか。必要な情報をチェックしていくことが大切です。

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