私たち日本人にとって、英語は「遠い」言語です。
文法、単語、音韻、あらゆる面で日本語と英語はかけ離れています。共通性もほとんどありません。
「学校で何年もかけて英語を勉強したのに、全然話せるようにならない!」
という意見がありますが、確かに納得できる点もあります。一体、どうすれば英語をペラペラ話せるようになるのでしょうか?
そこでこの記事では、私たち日本人にとって英語を近い言語にするためにはどうすればいいのか、その学習法について考えていきます。
はじめに
日本人が英語を話せるようになる。そのための考え方はたくさんあります。
例えば、
「語学は聞いて話すことが大切です。子供が言葉を覚えるよう、音を聞いて自然に覚えましょう。だから文法は勉強する必要はありません!英語は聞くだけでいいのです」
という主張があります。
確かに、子どもには驚異的な言語習得力があります。スポンジが水をあれよあれよと吸収するように、新しい言葉を身につけてしまいます。
ただそれは小さい子どもの話で、成長した大人が子どもと同じように言葉を身につけられるのかというと、少し疑問に感じます。
もしも英語を「聞くだけ」で話せるようになるとしたら、それこそ膨大な時間が必要になるでしょう。少なくとも1日最低8時間以上、文字通り英語漬けの生活をする必要があります。
とはいえ、現実問題、1日中英語に取り組む物理的な時間をもつのは、学生以外不可能でしょう。そのため、他の方法を選ぶ必要があります。
そして、そもそも私たち日本人の母語は日本語であり、英語だけでなく学ぶことはたくさんあります。英語を優先するあまり他のことがおろそかになってしまっては、本末転倒です。
ポイントは「日本語を英語学習に上手に取り入れる」こと
英語を話せるようになるためには、ネイティブのように思考ができる「英語脳」を身につけることがある意味で英語学習の最終目標になります。
英語脳とは英語を日本語に訳さなくても理解できる力、すなわち英語を英語のまま理解できる力を指します。英語を英語のまま理解できるようになると、日本語に英語を翻訳して理解することがむしろ面倒になります。
とはいえ、いきなり「英語をそのまま理解しろ!」といわれても、現実問題なかなか難しい話です。物事には必要な順序があります。
そこで最初のうちは、
・英単語を日本語で覚える
・和訳で英文の意味を確認する
など、私たちの母語である日本語を学習に活用することになります。
私たち日本人にとって母語は日本語です。英語学習を行う場合、日本語を上手に活用することで効率的に英語学習を行うことができます。
例えば英語を和訳するとき。初心者の方には、英語を意味のかたまりごとに和訳する方法が効果的です。これは英文をひと塊ごとに区切って和訳していく方法です。
具体的にはこういうこと
例えば、次のような英文を和訳していくとします。
I have a friend who lives in America.
このときに、
I have a friend → 私には友達がいます
who lives in America → アメリカに住んでいる
というように、英文をかたまり(センスグループ)で区切って理解していくのです。
日本語としては少しおかしな感じになりますが、アバウトですが何となく意味を理解することができます。これが英語本来の考え方です。
必要なら、
I have → 私はいます
a friend → 友達が
という具合に、もっと細かく区切ってもかまいません。大切なのは、英語本来の語順で意味を理解することです。この方法を続けることで、日本語を取り入れつつ英語を英語として理解できる脳力(能力)を育成することができます。
英語の考え方を身につける
英語を語順のまま日本語を使って理解する上での注意点は、返り読みをしないことです。正しい和訳にこだわる必要はありません。
日本語は英語を理解するためのイメージとして、最小限に使います。語順ごとに、英文を区切り、日本語で理解します。
このように、英語の学習に日本語を上手く取り入れることによって、効果的に学習をすることができます(英会話にも役に立ちます)。
普段の学習で、日本語で内容を理解し、英語本来の考え方を意識することで、徐々にネイティブライクな英脳思考が育っていきます。
英会話教材の中にも日本語を上手く英語学習に取り入れた教材があるます。学習のさいはそういった教材を上手に活用してみるのもいいかもしれません。
いずれにせよ大切なことは英語学習を行う上で適切に日本語を活用すること。なぜなら英語は私たち日本人にとって外国語。理解するためには母語である日本語を使う方が効率的だからです。
生活スタイルにあわせて
日本語を上手く英語学習に取り入れる。その次に大切なのが、ムリのない学習計画です。
日本人は忙しい方が多いので、日常生活に負担がかからない、適切な方法で、英語に取り組む環境を作る必要があります。ポイントは次の2つです。
・継続して取り組めること
・毎日英語に触れること
上達は量と質で決定します。
意識を集中させて、質の高い学習をし、そして毎日取り組むのが理想的です。そこで、自分のライフスタイルにあわせた、続けやすい方法を考えておきます。
私の個人的な経験ですが、大学を卒業後に仕事を持ってから忙しくなり、自宅で勉強する時間が確保できず勉強が億劫になりました。そこで車の運転中に英語教材のCDをかけたり、スマホアプリに英語音声をダウンロードして聴くことにしました。
特に歩いているとき、歩きながら英語の音に意識を集中させていると、フレーズが覚えやすく効果的だと感じています。学習と同時にストレスの解消ができるので、私にはこの方法があっているかなと思います。
上達する方法はいろいろあると思いますが、やはり大切なのは、続けること&自分の生活スタイルに合う学習法を選ぶことだと思います。
眠たいのに机に向かっていても、ほとんど学習の効果は期待できないでしょう。それよりも、1日15分でも集中して取り組む方が、より高い効果が期待できます。
まとめ
日本人が英語を話せるようになる。特に、初歩の初歩。ゼロから英語を話せるようになる。そのために大切なのは、母語である日本語を活用して、英語を理解していくことです。
そのためには、英語をかたまりごとに理解したり、語順読みで英語の考え方を理解していくなど、上手に日本語を英語学習に活用する工夫をすることが大切です。
私たち日本人にとって英語は日本語と共通点のない外国語。理解して使いこなせるようになるためには、無理のない手順を経ることが大切です。
最後に
以上、このページでは私たち日本人にとって一番の英語学習法についての考え方をご紹介しました。
英語はツール。ツールを自由自在に使いこなせるようになるためには、ツールの特質を理解し、それを使いこなす方法を順序立てて身につけていく必要があります。
もちろん、物事はケース・バイ・ケースなので、人によっては特別な方法でかんたんにツールを使いこなすことができる場合もあります。
とはいえ例外は例外。多くの人にとっては順序立てて物事に取り組むことによって、一定のラインに到達することは不可能ではありません。特に私たち日本人にとって英語という外国語を日本語を通じて理解していくプロセスは必要不可欠です。
最初の段階ではまず、日本語を上手に活用して英語を理解し、やがて日本語から離れていく。ステップ・バイ・ステップで少しずつ、着実に前進を目指し、英語学習を継続していきましょう。