日本企業の海外進出にともない、会社での会議、公文書の公用語が日本語から英語に変わりつつあります。
カジュアルチェーンのユニクロが、2012年に英語を社内の公用語にするというニュースがありました。
会議はもちろん、文書まで英語を使うということですが、ニュースによると、海外進出にともない、意思疎通などコミュニケーション面の問題があるようです。
これがグローバリゼーションという流れは明白。
ユニクロの場合、英語のスキルを求められるのは、企業の幹部や店長クラス限定ということですが、一般的な傾向として、
・TOEIC700点以上厳守
・海外勤務の経験増
など、求められるハードルはどんどん高くなっています。
21世紀、ビジネスパーソンにとって、英会話のスキルは必須ということになるのでしょうか?
現時点では
純国産の企業で、社内の公用語を英語にしているケースはまだまだ例外。
一般的ではありません。現状では、日産や楽天など、ごく一部の企業に限られています。
とはいえ、日本の企業の海外進出が進む中、公用語としての英語の役割は更に重要度を増しています。
楽天の三木谷浩史社長は、東洋経済のインタビューで「英語ができない役員はクビ」とまで断言しているそうで、言語の運用能力とビジネスの関係が、より重要になってきるようです。
楽天は特に重要視しているようで、会社全体で英語を公用語にするというニュースがありました。
管理職はもちろん、一般の社員まで、会社でのコミュニケーションは全て英語で行うそうです。
このように、時代の流れか、所属する会社によっては、英語ができるかできないかは、文字通り死活問題になりそうです。
TOEICのスコアと社内でのコミュニケーション力
難しいのは、英会話のスキルです。これは、一朝一夕では身につきません。
ユニクロの場合、海外業務に必要な最低限がTOEIC700点以上ということですが、この基準は、受験英語でよい結果を出された方なら、それほど難しくない水準です。
それに、いくらTOEICで高得点を取得できるかといって、それがイコール英語のコミュニケーション力につながるかというと、そうではないのが難しいところです。
実際、私の大学時代の友人に、TOEIC900、TOEFL600以上が常連のつわものがいましたが、彼は、私が知るところによれば、全然英語が話せません(現在は知りませんが)。
日常的なあいさつはできますが、それこそ英語でプレゼンをするなど、現実的に厳しい状況です。
企業が英語を公用語にするということで、一番「大変だろうなぁ」と思ったのはこの部分です。
TOEICは障害にならない?
日本人は勤勉な方が多いので、TOEICのスコアはそれほど問題にはならないと思います。
なぜなら、TOEICの場合、英語は話せる・話せないの問題ではなく、いかに試験向けの知識とスキルをもっているかがポイントになるからです。
いわゆる、点を取るためのノウハウ(勉強法)を知っているかどうかの問題です。
私が受験した感覚では、TOEICで700点以上取るためには、いわゆる難関大学レベルの英語問題が解ける英単語力や文法の知識。
そしてリーディングとリスニングの対策、そして時間配分などのテクニックがカギになります。
受験生のように、ひたすら知識を詰め込み、TOEICと似たような問題を解いていけば、一人でも解決できる問題です。
英語の通信講座を受講したり、市販のテキストをマスターすることで、スコアを上げることができます。
本当に大変なのは、相手の英語を聞き取るリスニング力と、自分の意思を相手に正確に伝えるスピーキング力。
つまりリアルな英会話のコミュニケーション力を身につけることです。TOEICの勉強はそのための土台となります。
この意味で、TOEICの勉強をすることは、長い目で見ると、スコア以外に大きなメリットがあります。
日常レベルの英会話スキルならともかく、ビジネスレベルの実践的なレベルまで伸ばそうとすると、かなりの時間を学習に投資しなければなりません。
特に、ビジネスの現場では、ちょっとした表現の違いが誤解を生む可能性もあります。ほんの細かなニュアンスの違いなど、かなりの習熟を期待されることになります。
この点の課題は、型通りの学習では太刀打ちできないので、かなりハードです。
生き残りの課題はスピーキング力
日本人の多くは、英語の教育で読み書きはよく訓練されていますが、話す聴くといった、リアルなコミュニケーション面のレッスンが不足している傾向にあります。
特に、スピーキングがクセモノです。リスニングのスキルは独学の学習でカバー、上達できますが、スピーキングはそうはいきません。
実際、ある程度英語に習熟した方の中には、「相手の話は聞き取れる、けど思うように英語で話せない・・・」というような状態の方がいらっしゃるのではないでしょうか。
話す力は放置しておくとどんどんスキルレベルが落ちていきます。スピーキング力だけでは、定期的なメンテナンスが欠かせません。
私の場合、2009年に久々海外に旅行に行きましたが、現地について最初の期間は、思うように英語が口から出てこず、「アレ?」という状態でした。
使わないと、スピーキングの力は、どんどん後退していくのを、あらためて実感しました。
英語力を落とさないために
最終的に問題になるのは英語を話す力。そのために、英語力の維持は欠かせません。
メンテナンスとして、テキストを音読したり、シャドウイングをすることで、ある程度は個人の努力で練習できます。
とはいえやはり、英語を話すレッスンは、リアルな体験に勝るものはありません。
自分が話す
↓
それを受け取る人がいる
↓
フィードバックがある(相手に伝わったか、伝わっていないか)
この流れによって、徐々にスピーキングが流暢になっていきます。この点の課題は、独学ではクリアできないかもしれません。
英語を公用語化する各企業で、この点を踏まえた研修が期待されます。それ以上に、個人で英会話を始めたりTOEICを頑張ったり。そんな行動こそがまさに、自分の未来を救うのかもしれません。
追記
この記事を初めて公開してから、長い時間が経ちました。英語のスキルの必要性はますます高まり、特にビジネスパーソンの英語学習熱は高まるばかりです。
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