その強みは脳の処理力。「バイリンガル」とは?

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英語学習者にとってよく耳にするのが「バイリンガル」という言葉。

そこでこのページでは、バイリンガルという言葉の意味を含め、そのほか英語学習者にとってプラスαとなる知識をこちらでご紹介します。

お子さんの英語教育をお考え方の方はもちろん、「私は今、英語を頑張っている大人の英語学習者です」という方もぜひ参考にしてみてください。

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はじめに

バイリンガルとは、2つの言語を話す人のことです。

いわゆる多言語話者 (multilingual)で、一般的に二ヶ国語を話す人をバイリンガルと呼びます。例えば、日本語と英語を話す人、ドイツ語とフランス語を話す人という具合です。

日本の場合、ほとんどの人が日本語だけ話す単一言語(モノリンガル)社会で、バイリンガルは少数派ですが、企業の海外進出にともない、状況が変化しつつあります。

一方、海外では2ヶ国語が公用語になっている国があり、バイリンガルは一般的です。例えばアメリカ。公用語の英語のほか、スペイン語が使われている州もあり(公用語になっている州もあります)、典型的な多言語国家です。

他の例としては、カナダがあります。カナダでは英語とフランス語が公用語になっています(ケベック州の場合、公用語はフランス語)。カナダではイマージョン教育という独自の多言語教育を実施しており、様々な言語教育が行われています。

第二言語習得研究で分かったバイリンガルの強みとは?

母語だけでなく外国語も使いこなすことができる。そんなバイリンガルの強みが特に顕著な長所があります。それは「認知能力」。

「人がどうやって外国語を身につけるのか?」を研究する第二言語習得研究では、母語しかしゃべらない子供よりバイリンガルの子供は「認知能力」(=創造性や類推力、情報処理力)が優れていることがわかっています。

そして、更に重要なのはバイリンガルでも母語と外国語の距離が遠いほど認知力が優れている傾向にあるということ。

例)日本語と英語のバイリンガルの子ども(日本語と英語は言語の距離が遠い=似ていない言語同士)

理由はシンプル。言語が似ていないからこそ処理力にリソースが必要で、異なる言語を処理することがトレーニング効果として脳に刺激となっていると考えられています。

その証拠として、バイリンガルの老人は認知症の発症が遅れ、進行も遅いことがわかっています。教育レベルが高い老人(脳を使っている老人)が認知症になりにくく、発症に進行も遅い傾向にあるのは同じ理由です。

脳を使うからこそ認知的生活を維持できる、すなわち異なる2つの言語を使いこなすことができるバイリンガルは、モノリンガル(単一言語話者)に比べて脳の認知機能が優れていると言えるのです。

参考文献

『英語教師のための第二言語習得論入門』(P12~、大修館書店)

バイリンガルになるには?

バイリンガルになるには、母国語(日本人の場合は日本語)の他、第2言語(例えば英語など)を身につける生活環境や学習が必要です。

例えば家庭環境もその1つ。私が身近で知っている具体的な例としては、父親がアメリカ人、母親が日本人の子供の例を知っています。

こちらが日本語で話すと日本語で、英語で話しかけると英語で返してくるという感じで、「子供の言語適応力は素晴らしいなぁ」と感動したことがあります。

もう1つの例としては、父親がイギリス人。母親が日本人で、家庭で子どもは父親が英語で話しかけたら英語で返し、母親が日本語で話しかけたら日本語で返すという、子どもの言語力に驚く話を聞いています。

子どもは大人より言葉を覚えやすいが

ちなみに、SLA(第二言語習得)という、「人がどのように外国語を覚えるのか?」を研究した学問があります。それによると、臨界期に到達していない子供の場合は大人に比べ、比較的第二言語を習得しやすいという考え方があります。

この点、バイリンガルになるための環境を整えることで、多言語話者になる能力を開花させることができるのかもしれませんが母語との兼ね合いもあります。

日本語と英語は距離が遠い言語であり、ドイツ人やフランス人が英語を身につける感覚(難易度)で英語をマスターすることはベリーハードです。日本語と英語、母語と外国語の関係について理解を深めた上で、早期教育を考える必要があります。

第二言語習得研究においても年齢が言語を習得するための絶対的な条件ではなく、”Older is faster, younger is better.”という結論になっています。

まとめ

バイリンガルとは、2つの言語を話す人のこと。母語+α、外国語を自由に話せる人のことを指します。

日本人は環境的に日本語オンリーのモノリンガルですが、英語を勉強してマスター。使いこなせるようになることで、バイリンガルになることができます。

ただし環境として日本はモノリンガル社会なので、「子どもをバイリンガルにしたい!」という場合は、子どもが多言語を習得するための環境を整えていくことが大切です。

第二言語習得研究によると、言語の習得には個人差があります。そこで、「若い」という点は確かに強みとなりますが、それ以外にも

1.覚える言語が母語と似ている(言語同士の距離)

2.本人の外国語習得の適正が高い

3.動機付けが強い

4.適切な学習法を選んでいる

といった条件があることがわかっています。

環境は人によって違います。「1にも2にも早期に英語を!」と早急に結論を下すのではなく、「我が子にとってはどうなのか?」を総合的に考え、外国語習得にリソースを割くことが大切です。

最後に

以上、バイリンガルについてバイリンガルという言葉の意味を含め、そのほか英語学習者にとってプラスαとなる知っ得の知識をご紹介しました。

言語の処理力は脳の認知力。母語だけでなく他の言語も使いこなせることは、スキルとしてだけでなく健康の面でもメリットがあります。

日本語が話せることに加えてもう1つ英語(や他の言語)も話せて使いこなせる。そんな、大人のバイリンガルを目指すことは、人生をきっと豊かにしてくれるはずです。

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