日本人が英語を話すとき、ある特徴があると言われています。それは、「型どおりのあいさつをする」ということ。
まず学校で習う英語のあいさつが、”Fine, thank you. And you?” 英語の授業でも、最初に”Good morning!”から始まります。そして毎回、決まって同じあいさつを繰り返します。
こうした「型どおり」のあいさつは、親しいネイティブには良くないですが、なぜ日本人はこうした決まった型を好むのか?その理由は、失敗を恐れる心が背景にあるのかもしれません。
「それは英語力アップに関係するの?」という話ですが、長い目で見ると答えは「イエス」。英語を話せるようになりたい初心者の方は、ほんの頭の片隅にでもこの話を入れておいてみてください。
なぜ失敗を恐れるのか?
日本人は学校でも会社でも、ミスをすると怒られます。というのは日本は一般的に「加点主義」よりも「減点主義」。だからこそ「ミスをしない」ことを過剰に意識してしまいます。
また、日本人は均一性が高い民族であるがゆえのマイナスとして、人と同じように振舞わないと「村八分」に合ってしまうという無意識の恐れを抱えています。
ミスをして怒られる、恥をかくのなら、無難なあいさつをしよう、このような恐怖感が日本人にはあると考えることは不自然ではありません。
確かに、学校では何か間違えると、友達に笑われたり、先生に怒られたり、ネガティブな体験をすると思います。怒られたり恥をかくのは誰だって嫌な経験ですよね。
ネイティブはミスを気にしない!
ミスは嫌、失敗は怖い。
確かに、失敗する可能性があることを避けることで、大きなミスを防ぐことができます。でも、ミスを怖がって行動が萎縮してしまうと、そこから建設的な結果は生まれません。
英語も同じです。英語を話せるようになるためには話す練習が必要で、当然、上達するまでに、何度も失敗することになると思います。
ときに、「ヘンテコな英語」を話して、周りから笑われてしまう不安を感じてしまうかもしれません。が、実際のところネイティブに「ヘンテコな英語」を話したとしてもそれをイジる人は極めて少数。
私の経験上、積極的に母語でない英語でコミュニケーションを取ろうとしてくる人(ノンネイティブの英語話者)に対して、重箱の隅をつつくような指摘をしてくるような人はいませんでした。
もちろん、明らかな間違いや間違えたときの勘違い度が高いものは指摘されたり微妙な空気が漂いますが、それは当たり前の話。大切なのは英語でコミュニケーションしようという、積極な気持ちです。
やる気が出る「打率3割」の話
私の大学時代の英語の先生で、とあるアメリカ人の先生がいました。
その先生(R先生としておきます)は大学の日米文化論の先生で、大柄かつかなりの強面です。授業スタイルがとても厳しい先生として有名でした。
その先生は怠惰な態度に厳しく、かつ自分の意見を積極的に言おうとせず、周囲の顔色を伺う日本人学生の態度を快く思っていないようでした。
それでそのアメリカ人の先生が嫌な人だったかというと全然そうではなく、英語学習のためになることを教えてくださいました。
彼のアメリカ人としての方法で、いかに積極的に行動をすることが大切なのか。いろんなことを話してくださったのですが、大学を卒業して今でも覚えている話があります。それが「打率3割」の話です。
「野球の打者は、3割打てば、つまり10回中3回当たれば成功だ、英語も同じだ。ミスをしてもいい。ともかくバッドを振ること。失敗してもいい。何もしないよりはましだ」
つまり、ともかく話してみること、試してみることの大切さです。
R先生の授業では、意見を求められたとき、黙っていると怒られます。「ミスしてもいいから、自分が思うことを英語で話してみろ!」という考え方でしたが、実際英語を話せるようになる上で、とても大切な考え方です。
「まずやってみる」ことの大切さ
私達日本人にとっては、人前で文法ミスや間違ったことを言うのは恐怖ですが、英会話ではその恐れは不要かもしれません。
先にも述べたとおり、実際ネイティブの人と英会話をすれば分かりますが、相手はこちらの文法ミスなどほとんど気にしません。
むしろ、正しい英語を話そうとモジモジ、相手の顔色を伺って黙っている方が相手をムッとさせます。それより、英文法が多少間違えていようが、どんどん話した方がネイティブとの会話が弾んでいきます。
なので大切なのは今のあなたが身につけた英語の知識をフル動員して、話せることを話せばいいのです。単語だけでも十分伝わることはあります。
とはいえ、私たち日本人は完全主義的な傾向が強いところがあります。あなたももしかしたら、「文法がおかしかったらどうしよう?」「単語の発音が下手だから話せない」と考えてしまうかもしれません。
なので、思い切って「多少間違えてもいいや」くらい、リラックスした方がかえってよい結果を生むのではないでしょうか。いつも努力をして肩肘を張っている方ならなおさらです。
打率は3割、それだけできれば十分。そのうち、4割・5割とアップしていきます。「ミスは当然!」と思うくらい、アバウトになってみませんか?
英語の学習は強制されるものではありません。もし間違えたら、正しい方法を覚えればよいだけです。勉強するのは、他ならぬあなたなのですから。
まとめ
英語を自由に話せるようになる。そのために大切なのは、ミスを恐れず積極的に英語で話そうとすることです。
ミスをしたことは挑戦したということ。挑戦することによって、だんだんと正しい方法を身につけることができます。なので、「間違ってはいけない」→「間違ってもいい」と考え方を変えてみましょう。
ミスを恐れて英語を話すことを恐れていれば、いつまでも自由に英語を話せるようにはなりません。英語で間違えても大丈夫。むしろ、ミスせずには英語は上達しません。
間違えたら間違えたで、正しい言い回しを覚えればいいだけ。英語を話す機会があれば、ミスすることを恐れないで、積極的に使っていきましょう。
ただ一つ重要なのは間違えたからといってそれは致命傷ではありません。むしろ、間違えるからこそ英語を話せるようになるのです。
最後に
「英語は話していれば話せるようになる」
これはシンプルですが事実です。私自身、英語を勉強してきたものの、自分がいざ「話す!」となるとある段階までは自信が持てませんでした。
ところがある職場でご一緒したイギリスのスコットランド出身の方と仲良くなり、休憩中はいつも英語で話していました。この経験が私のブレイクスルーになり、英語で話をすることに心理的抵抗がなくなったのです。
今でも英語を話す機会があるときは、ミスをするときがありますが、それでも大切なのは”make myself understood”で英語を通じさせコミュニケーションを成り立たせること。この意味で、ミスを恐れず英語を話してみる姿勢を持つことはとても大切です。
正しさばかりにこだわっていると「英語を話そう!」という気持ちが萎縮してしまいます。間違ってもOK。英語は気軽に話してみましょう。参考になれば幸いです。