英会話を続けていると、こんな悩みはないでしょうか?
「何年も英語を学んでいるのに、カタコトの英語しか話せない。」
「ネイティブの話す英語が聞き取れない!英語、速すぎ!」
なぜ、毎日英語を勉強しているのに、いつまでも使えるようにならないのか?
人は誰でも、言葉を身につける能力があるはずです。
例えば日本語。
日本語が話せない日本人はいませんし、読み書きは別として、会話は自然に身についたはず。
・何年も勉強しているのに話せない英語
・自然と身につく母語(日本語)
何か決定的な、大きな違いがあるのでしょうか?
ヒトはどのように言葉を身につけるのでしょうか?
まずは、赤ちゃんの言語習得プロセスを参考に、この問題を考えます。
赤ちゃんの言葉の発達
赤ちゃんは生まれてからすぐに言葉を話すわけではありません。
研究によると、赤ちゃんが成長し、言葉を身につけるステップは次のようになっています。
1.「おぎゃー」など、快・不快を表現する状態。
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2.機嫌によって、「クークー」など、のどを鳴らすように声を出す状態。
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3.「あー」、「うー」といった喃語(なんご)を話す時期。
のどや口など、発声器官の発達が影響しています。この時期は、母音が中心の発声をするようです。
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4.喃語に子音が混じるようになり、コミュニケーションを意図した言語力が発達していきます。
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5.「パパ」、「ママ」といった初語※の獲得(1歳前後)する時期。1つの単語を話すのが特徴。
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6.潜伏期。言葉を話さない時期。
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7.1歳半から2歳くらいから急激に語彙が増える時期。「ワンワン」などの単語から、「ワンワン+いる」など、だんだんと言語力が広がっていく時期です。文法的な規則の理解も始まります。
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8.3~4歳頃、語彙数が大幅に増加、日常的な話し言葉の習得が完了する時期。
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9.5歳頃までに、2000語~2500語を習得。
以上が赤ちゃんが成長し、日常的な言葉を話すようになるまでの、大まかなステップです。
お子さんをお持ちの方は、お子さんが言葉を話すようになるまでの時間を思い出されると、「そうかも」というところが見つかるかもしれません。
※初語とは
子どもが最初に発する言葉。「マンマ」など、1つの単語ですが、文としても機能します。
赤ちゃんはLとRの違いが分かる?
研究から分かることは、「ヒトが言葉を話すようになるまでには、なんらかのプロセスがある」ということです。
しかも、人種や民族に関わらず、赤ちゃんが言葉を覚える過程は同じで、赤ちゃんの言語習得には、周囲の人の声や言葉に強く反応することが分かっています。
このことから、人には言葉を身につける能力が生まれながらにして備わっている(ユニバーサル文法説と言います)という考え方が、言語学者によって主張されています。
また、生後4ヶ月の日本人の赤ちゃんは、LとRなど、大人が難しい音を使い分けできることが分かっています。これは、赤ちゃんは世界中、どの言語でも習得できる力を持っていることを示唆しています。
研究で分かっているのは、人は本来、言葉を身につける能力があるということ。もし、人が言葉を身につけるためのDNAが備わっているなら、その力を開花させるための何かが必要かもしれません。
語学習得には正しい理論がある?
近年、人がどうやって外国語を身につけるのか。そのプロセスを学術的に研究している第二言語習得理論(SLA)があります。
個人の経験則ではなく、「こうしたらこうなる」という確固たる根拠に基づいて、言語習得の仕組みを明らかにしている学問です。
第二言語習得の理論に基づき、英語を勉強することで、より効率的に英語を習得できるようになります。その基本かつ重要なポイントをこちらの記事でご紹介しています。興味がある方は、あわせてご覧ください。
参考文献
・『よくわかる発達心理学』(林洋一著、ナツメ社)
・『臨床心理学の基本と仕組み』(徳田英次著、秀和システム)
・『科学的トレーニングで英語力は伸ばせる!』(田浦秀幸著、マイナビ新書)